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日本とドイツのスポーツは何が違う?学校部活動と地域クラブから見る育成環境

日本でスポーツをしていると、 ある仕組みを「当たり前」だと思うことがあります。

小学生では地域のクラブやスポーツ少年団。

中学生になったら中学校の部活動や地域クラブ。

高校へ進学したら高校の部活動。

そして大学、社会人へ。

年代が変わるたびに、 所属するチームや指導者、仲間が変わっていく。

日本では珍しくないスポーツの歩み方です。

しかし、ドイツへ行ってみると、 スポーツをするための「仕組み」そのものが日本とは違う ことに気づきます。

今回のテーマは、

「日本とドイツ、スポーツの『仕組み』は何が違う?」

どちらが優れているかを決めるためではありません。

違う仕組みを知ることで、 私たちが「普通」だと思っているスポーツ環境を、 少し違う角度から考えてみたいと思います。

目次

目次

1. 日本では「学校」がスポーツの大きな舞台になってきた

日本の育成年代のスポーツを考えるとき、 学校の存在は非常に大きなものです。

たとえばハンドボール選手なら、

小学生クラブ
↓
中学校
↓
高校
↓
大学
↓
社会人

という形で競技を続けていくケースがあります。

進学するたびに、 所属する組織が変わる。

指導者が変わる。

チームメイトが変わる。

そして、その年代ごとに大会があり、 それぞれのチームで目標を設定して競技に取り組みます。

私自身も学校現場で長く子どもたちと関わってきましたが、 日本では「学校」と「スポーツ」が非常に近いところにあります。

それは、日本のスポーツ環境の大きな特徴の一つです。

2. ドイツでは地域クラブがスポーツの舞台になる

一方、ドイツでは、 スポーツの中心に地域クラブがあります。

ドイツではこうした地域のクラブを Verein(フェライン) と呼びます。

ハンドボールでも、 子どもたちは地域クラブに所属して競技を始めます。

そして大きな特徴は、 年齢が上がっても、同じクラブの中で競技を続けられる環境がある ことです。

学校が変わったから、 必ずチームも変わる。

高校を卒業したから、 そのチームでの活動も終わる。

という構造とは異なります。

学校とスポーツクラブが別々に存在し、 地域の中にスポーツをする場所がある。

ここが、日本との大きな違いの一つです。

3. 1つのクラブに子どもから大人までいる

ドイツのハンドボールクラブを見ると、 一つのクラブの中に複数の年代・チームがあります。

たとえば、

  • Kinder(子ども)
  • U11
  • U13
  • U15
  • U17
  • U19
  • 成人

といったカテゴリーです。

さらに、同じ年代でも 複数のチームを持つクラブがあります。

つまり、

「1クラブ=1チーム」ではありません。

一つのクラブの中に、 さまざまな年代、さまざまな競技レベルの選手がいる。

だからこそ、 子どもが成長してもクラブとの関係が続いていきます。

小さい頃にプレーしていたクラブで、 上のカテゴリーを目指す。

大人になってプレーする。

あるいは、 プレーする立場から支える立場へ変わる。

クラブとの関係が、一つの年代だけで終わらない。

これがドイツの地域スポーツを理解するうえで、 とても重要なポイントだと感じています。

4. 年齢だけではなく「今の自分」に合った環境へ

私たちがドイツのアカデミーを見る中で、 もう一つ興味深いと感じているのが、 カテゴリー間のつながりです。

同じクラブの中に複数の年代やチームがあることで、 選手によっては一つ上のカテゴリーのチームに混ざって練習したり、 試合に参加したりする機会があります。

もちろん、 すべての選手が年齢を飛び越えてプレーするわけではありません。

しかし、

「何歳だから、必ずここ」だけではなく、 選手の現在地や成長に応じて、 次の環境へ触れられる可能性がある。

同じクラブの中に複数カテゴリーが存在することが、 そうした育成を可能にする一つの土台になっています。

5. なぜ地域クラブがスポーツ文化につながるのか

この仕組みは、 競技力の向上だけに関係しているわけではありません。

子どもの頃から地域クラブに所属する。

成長してもクラブとの関係が続く。

家族が試合を観に行く。

大人になっても競技を続ける人がいる。

指導者やボランティアとしてクラブに戻ってくる人もいる。

地域の企業がスポンサーとして支える。

そして次の世代の子どもたちがクラブに入ってくる。

こうして考えると、 地域クラブは単にスポーツを教える場所ではなく、 世代と世代をつなぐ場所にもなります。

前回の記事では、 「なぜドイツはハンドボールが強いのか?」 というテーマを取り上げました。

そこで紹介した、 選手、指導者、家族、観客、スポンサー、ボランティアが 一つのスポーツを取り巻く環境も、 こうした地域クラブの仕組みと無関係ではありません。

子どもがスポーツをする。
↓
地域がそれを支える。
↓
大人になってもスポーツとの関係が続く。
↓
次の子どもたちが育っていく。

スポーツが地域の中で続いていくための循環があります。

6. 日本とドイツ、どちらが良いのか?

ここまで読むと、

「じゃあ、ドイツの仕組みの方が優れているの?」

と思うかもしれません。

しかし、私たちはそう考えていません。

日本とドイツのどちらが良いかを決めることが、 この比較の目的ではないからです。

日本には、 学校という身近な場所でスポーツに出会える環境があります。

学校生活と競技生活を同じ仲間と過ごし、 一つの目標に向かって取り組む経験もあります。

一方、ドイツには、 学校とは別に地域クラブがあり、 世代を超えてスポーツに関わり続けられる仕組みがあります。

大切なのは、

「自分たちが知っている方法だけが、 スポーツの当たり前ではない」

と知ることです。

7. 世界を見ると「当たり前」が当たり前ではなくなる

これは、Challenge Tourで私たちが 選手たちに経験してほしいことの一つでもあります。

海外へ行くと、 プレーのスピードやフィジカル、 戦術の違いなどに目が向きがちです。

もちろん、それらを体感することも大切です。

しかし、少しコートの外にも目を向けてほしい。

なぜ、このクラブには こんなに多くの年代の選手がいるのか。

なぜ、地域の人が試合を観に来るのか。

なぜ、大人になっても このクラブに関わり続ける人がいるのか。

学校とスポーツは、 どんな関係になっているのか。

そして、

「自分が日本で当たり前だと思っていたものは、 本当に世界でも当たり前なのか?」

自分の目で見て、 自分で考える。

それこそが、 海外へ行く大きな価値だと考えています。

海外に「正解」があるわけではありません。

日本が「間違っている」わけでもありません。

違う世界を知ることで、 自分が選べる世界を増やす。

GlobeHand Projectが選手たちに 海外を経験してほしい理由は、そこにあります。


世界へ行く前に、僕たちが学ぶこと。

この記事は、 Challenge Tour参加選手への事前講座をもとにしたシリーズです。

第1回では、

「なぜドイツはハンドボールが強いのか?」

というテーマから、 競技人口、地域クラブ、観客、家族、スポンサー、 ボランティアなどを含む ドイツのハンドボール文化について考えました。

そして今回の第2回では、

「日本とドイツでは、スポーツをする仕組みそのものが違う」

ということを見てきました。

では、こうした違う世界を知ったとき、 自分自身はこれからどんな道を選ぶのでしょうか。

次回は、

「知らないものは、選べない。
世界を見ることと、自分の将来を考えること」

をテーマに、 ハンドボールとその先にある「自分の人生」について考えます。


GlobeHand Project
世界のスポーツ文化・育成を日本へ。
「選ばれたから世界へ行く」のではなく、
「世界を目指すから、挑戦する。」

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