ハンドボールが盛んなドイツ。
その育成環境では、どのような選手が評価され、上のカテゴリーへ進んでいくのでしょうか。
シュートが上手い選手? 身体が大きい選手? 試合でたくさん得点する選手?
もちろん、技術や身体能力は重要です。しかし、それだけではないようです。
GlobeHand Projectでは、Challenge Tour 2027の第2回事前講座「世界で戦うために」として、ドイツ生まれ・ドイツ育ちで、現在VfLグンマースバッハU20に所属する清水さんをゲストに迎えました。
今回の記事では、清水さんが実際に経験してきたアカデミーの選考、競争環境、指導者との関係から、ドイツの育成現場で大切にされていることを紹介します。
※本記事は、Challenge Tour 2027の事前講座で行った清水さんへのインタビューをもとに構成しています。紹介した内容は、主に清水さん自身の経験や所属環境についてのものです。
目次
- 上手いだけでは選ばれない。アカデミーの選考基準
- 選手が監督に意見を伝えることも大切
- 競争の中で求められるのは、失敗しないことではない
- 練習時間以外の行動にも、その選手の姿勢が表れる
- ドイツの育成環境から、日本の選手が学べること
- 世界を目指す前に、今日からできること
1.上手いだけでは選ばれない。アカデミーの選考基準

現在ドイツでは、何人もの日本人選手がブンデスリーガという夢の舞台を目指して励んでいます。
そして、その中の1人であるVfLグンマースバッハU20に所属する清水さんから聞いた話はこれまで私が伝えてきた子を裏付けるものであったり、初めて聞いた話などとても新鮮でした。
清水さんが語ってくれたのは、アカデミーの選考では単純な技術だけでなく、複数の要素を総合的に見られるということでした。
- 身体を自在に動かすコーディネーション能力
- 状況を見て適切に判断する力
- 味方と連携してプレーする力
- チーム全体の構成やポジションとの適合性
特に印象的だったのは、「頭を使ってプレーできるか」という視点です。
例えば、身体能力で勝る相手に対して、毎回正面から勝負することが正解とは限りません。相手の動きを読み、立ち位置やタイミングを工夫し、別の選択肢を見つける。
技術を持っているだけでなく、試合の中でその技術をいつ、どのように使うのか。
そうした判断力も評価の対象になるという話でした。
2.選手が監督に意見を伝えることも大切

日本の育成年代では、指導者の指示をよく聞き、そのとおりにプレーすることが評価される場面も少なくありません。
一方、清水さんが経験しているドイツの環境では、選手自身が戦術について考え、監督やコーチにアイデアを提案することもあるそうです。
指導者の話を聞くことと、自分の意見を持つことは、決して矛盾しません。
指示されたことを理解したうえで、試合の状況に応じて自分でも考える。そして、必要であれば仲間や指導者とコミュニケーションを取る。
ここには、ハンドボールの技術だけではない「主体性」が表れています。
もちろん、ドイツのすべてのクラブや指導者が同じというわけではありません。しかし、清水さんが実際にプレーしている環境では、選手自身の発言や提案も大切な要素になっていることが分かりました。
3.競争の中で求められるのは、失敗しないことではない

VfLグンマースバッハのような高いレベルのクラブでは、チーム内でのポジション争いも厳しくなります。
清水さんも、そうした競争や厳しいフィードバックを経験してきたと話してくれました。
そこで大切なのが、失敗した後の行動です。
清水さんが強調していたのは、ミスを一度も犯さないことではなく、同じミスを繰り返さないようにすることでした。
指導者から改善点を指摘されたときに、次の練習でどのように修正するのか。
自分の課題に気づいたときに、何を変えようとするのか。
その姿勢が、選手としての成長にも評価にもつながっていきます。
清水さん自身、失敗したことや改善策をメモや日記に書き出して振り返る習慣があるそうです。
これは日本の中高生でも、今日から取り入れられる方法ではないでしょうか。
4.練習時間以外の行動にも、その選手の姿勢が表れる
もう一つ興味深かったのが、練習前後の行動についての話です。
清水さんによると、チームの練習だけでなく、自主的な筋力トレーニングなど、プラスアルファの行動で自分の意欲を示すことも大切だそうです。
もちろん、長時間練習すれば良いという意味ではありません。
大切なのは、自分に必要なことを考え、自分から行動すること。
指導者に言われたから取り組むのか。それとも、自分が成長するために必要だと思って取り組むのか。
同じトレーニングでも、そこには大きな違いがあります。
5.ドイツの育成環境から、日本の選手が学べること

今回のインタビューを通して感じたのは、ドイツの育成現場では、技術や身体能力だけでなく、選手自身の考え方や行動も重要な評価要素になっているということです。
ここまで紹介した内容を整理すると、次の4つになります。
- 状況を見て、自分で判断する
- 自分の考えを、仲間や指導者に伝える
- 失敗を振り返り、次の行動を変える
- 成長のために、自分から行動する
これらは、海外へ挑戦する選手だけに必要な力ではありません。
日本でハンドボールを続ける選手にも、ほかのスポーツに取り組む子どもたちにも、そして将来社会に出ていくうえでも、大切な力だと思います。
GlobeHand Projectが海外での経験を大切にしているのは、単に海外の方が優れているからではありません。
日本とは異なる環境や価値観を知ることで、自分自身の当たり前を見直し、新しい選択肢を持てるからです。
6.世界を目指す前に、今日からできること
2027年2月、Challenge Tourの選手たちは実際にドイツへ渡り、現地の育成環境に触れます。
しかし、今回清水さんから聞いたことは、ドイツへ行かなければ実践できないことではありません。
今日の練習で、自分から一つ質問してみる。
失敗したプレーを振り返り、次の練習で改善してみる。
仲間と自分の考えを伝え合ってみる。
そんな小さな行動から、世界へ挑戦する準備は始まっているのだと思います。
世界を目指すことは、特別な選手だけに許されたものではありません。
世界を知り、そこで何が求められているのかを学び、自分自身の成長につなげる。
GlobeHand Projectは、これからもそんな挑戦の機会を日本の育成年代へ届けていきます。
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