日本の選手は「通用しない」のか?
日本ではヨーロッパの強豪と比べて、
「日本の選手はフィジカルが弱い」
「育成世代で松脂が使えない」
だから勝てないんだ、とそんな声を耳にすることがあります。
しかし、実際に現地で日本の選手たちとみて感じたのは、
日本選手には、はっきりとした“良さ”があるということでした。
まずはそこからお伝えしたいと思います。
ドイツで評価されていた、日本選手の「良さ」
ドイツの指導者や関係者が口を揃えて言っていたのは、次の点です。
- 練習への取り組みが真面目
- 話をしっかり聞き、理解しようとする姿勢
- 指示されたことを丁寧に再現しようとする力
- チームの空気を乱さず、周囲と協力できる
これらは偶然ではありません。
日本の教育や指導文化の中で、長い時間をかけて育てられてきた価値です。
だから私は、
「日本の育成がダメだ」とはまったく思っていません。
むしろ、土台としては非常に優れていると感じています。
それでも、ドイツで浮き彫りになった「課題」
一方で、ドイツの環境に入ったとき、
日本選手が戸惑う場面も多く見られました。
- 判断を“待ってしまう”
- 正解を探そうとして動きが止まる
- ミスを恐れてプレーが小さくなる
- ぶつかることへの心理的なブレーキがかかる
これらは能力の問題ではありません。
私は強くそう感じています。
背景にあるのは「文化」の違い
ドイツでは、
監督と選手、教師と生徒、親と子ども——
立場が違っても、お互いを一人の人間としてリスペクトする文化があります。
だからこそ、
- 意見をぶつけ合う
- 「自分はこう思う」と主張する
- 納得いかなければ言葉にする
ことが、ごく自然に行われます。
一方、日本には
「年上を敬う」という大切な文化があります。
ただその延長線上で、
どうしても
「上が下を支配する」「下は指示を待つ」
という構造になりやすい側面もあります。
ハンドボールの現場でも、
- 言われたことを忠実にこなす
- チームの“駒”として徹する
選手が高く評価されやすい傾向は、否定できません。
日本とドイツの決定的な違いを目撃した場面をご紹介します。
実際に練習参加した時にこんな場面がありました。
練習終わりにポルトガル人コーチが「今日は君と君が集中できていなかったよ。君たちにプロに上がる資格はあるのか? 明日から切り替えていこう」と言っていました。
すると、そのミーティングのあとに、注意された選手はコーチの隣に行って、お互いに肩を組みながら話していました。
「今日は集中できていなくて、申し訳ない。明日から頑張るから、見ていてくれ」と言っていました。
コーチは「今日の君が本当の君ではないことはわかっているよ。明日からちゃんと見ておくからね」と言っていました。
これが対等なんだなと感じました。(日本ならコーチが一方的に上から叱って終わりという場面でした)
ドイツでは「主張すること」が前提
ドイツでは、ジュニア世代であっても、
「自分はこうしたい」
「この場面では、こう判断した」
と、監督にはっきり意見を伝える選手が多くいます。
なぜなら、彼らには明確な前提があります。
プロになりたい
そのために、今この環境で競争している
監督もまた、「選手が意見を持つこと」を前提に関わっています。
だから練習場では、
言葉のぶつかり合いが起きる。
考えの違いが表に出る。
そして、その中で選手は鍛えられていく。
私は、このジュニア世代での“揉まれ方”が、後に大きな差になる
と強く感じました。
日本選手は「伸びない」のではない
大事なことなので、はっきり書きます。
日本選手は、
- 考えられないわけでも
- 主張できないわけでも
- 世界に通用しないわけでもありません。
そういう環境に慣れていないだけです。
実際、
「任される」
「正解が用意されていない」
環境に置かれた瞬間、
- 表情が変わり
- 声が出始め
- プレーが一段階大きくなる
そんな変化を、実際に見てきました。
グロハンが大切にしていること
グロハンが目指しているのは、
- 日本の良さを否定することではありません
- ドイツのやり方を押し付けることでもありません
日本で育った良さを土台に、 世界基準の「考える環境」を体験してもらうことです。
行くか行かないか。
挑戦するかどうか。
それは、いつもご家庭と本人の判断です。
ただ、
「こういう世界がある」
「こういう基準で育っている選手がいる」
それを知った上で選べることが、
これからの時代はとても大切だと感じています。
最後に
この記事では、
ドイツで見た日本選手の「良さ」と「課題」を
全体像としてお伝えしました。
ただ、実際の現場では
- もっと繊細な葛藤
- うまくいかなかったケース
- 親として悩んだ判断
も、数多くあります。
それらは、
誰にでも公開する形では書いていません。
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